男子校の消滅! 男女共学化がすすむ
- アキラ イハラ
- 5月22日
- 読了時間: 3分
更新日:9月9日

福岡県では、サッカーなどで全国的知名度を誇る東福岡高校が2025年4月より女子生徒を受け入れ共学校になりました。中村三陽高校も、生徒募集を停止し、これにより福岡県から男子校はなくなってしまいました。
男子校・女子校の男女別学校は、全国的にも減少傾向にあります。
全国の高等学校における男子校・女子校数の変化

1980年には、男子校は全国に425校、女子校は724校の計1149校の男女別学校がありましたが、2000年には男子校218校,女子校527校の計745校に減少し、2024年には、男子校92校、女子校266校の、計358校へと、およそ3分の1にまで数を減らしました。男女共学化が進み、特に男子校は姿を消しつつあるということです。
男女共学化が進み、特に男子校は姿を消しつつある
共学化の流れは、知名度の高い「伝統校」「名門校」にも及んでいます。なぜこれほどにまで共学化が進んでいるのでしょうか。
少子化とジェンダー平等意識の高まり
一つには急速に進む少子化の影響が挙げられます。1990年には560万人以上いた高校生の数(全日制+定時制)は、昨年の調査では290万人まで減少しました。多くの都道府県で公立高校の統合や廃校が進んでいます。私立高校も生き残りに必死にならざるをえません。その一つの切り札として共学化があるようです。
新たに共学化に踏み切った東福岡高校では、700名の学年定員に対し、1800人を超える志願者が集まり、904人の生徒が入学しました。
もうひとつの理由は、ジェンダー平等意識の高まりでしょう。男女共同参画社会基本法が制定され、女性の社会進出やジェンダー平等に対する意識が高まっています。職場においても男女が協力して仕事をなしとげる環境が求められています。その準備として共学校が評価されるということもありそうです。
男子校・女子校は人気がない!
確かに、高校における男女別学の環境は人気があるとはいい難いようです。
福岡県の私立高校における定員充足率を算出してみました。福岡県内には、男子校はなくなってしまいましたが、11校の女子校があります。各高校の定員充足率は次のとおりです。
女子校の定員充足率(福岡県)

本来、公立高校の人気が高い福岡県において、私立高校全体を見ても、充足率87%と、定員を充たしていない状況ですが、そのような中で順調に生徒を確保している女子校もある一方で、多くの女子校が経営的には苦しい結果になっています。
今後も中村学園女子高校が共学化して中村学園高校となるほか、福岡市立福岡女子高校が2027年度をメドに共学化されることが決まっています。これにより県内のすべての公立高校が共学化されることとなりました。女子校の数も減り続けています。
男女別学の選択肢があってもいいのでは?
こうした共学化人気やそのメリットは理解できますが、すべての高校が共学化してしまうことが果たして望ましいのかということについては慎重に考える必要があります。教育学の世界では、従来から発達のスピードが異なる男女を一律に取り扱うことや、共学化によってむしろジェンダーの役割分担が促進されてしまうことへの警鐘が発せられています。
子ども一人ひとりの多様な個性に合わせて学びの環境を選択できる選択肢が残されていることも大事なことかもしれません。




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